行政書士櫻井ゆうき事務所 - 宮城の福祉保育特化行政書士 -

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障害福祉サービスのBCP、作って終わりにしていませんか|減算・遡及返還を防ぐ運用と点検ポイント【宮城県・仙台市】

2026年06月15日

厚生労働省のひな形をダウンロードし、事業所名だけ書き換えてファイルに綴じた——もしお手元のBCP(業務継続計画)がその状態なら、安心するのはまだ早いかもしれません。障害福祉サービスのBCPは、すでに完全義務化され、減算をめぐる2つの猶予期間も終了しています。そして義務化の中身は「計画書を1冊持つこと」ではなく、策定に加えて研修・訓練まで含めた『必要な措置』を講じることです。形だけのBCPは、運営指導(実地指導)で「措置を講じていない」と判断され、減算、さらには過去にさかのぼった返還につながりかねません。

本記事は、「BCPは作ったが、中身や運用が本当にこれで足りているのか不安」という宮城県・仙台市の事業者に向けて、どこを見られるのか、何を整えれば安心できるのかを、一次情報をもとに整理します。

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📑この記事の内容
1. BCPは「計画書がある」だけでは義務を果たせない
2. 2つの猶予はすでに終了|2026年現在の立ち位置
3. 「形だけのBCP」が減算につながる3つの落とし穴
4. 本当に怖いのは遡及返還|試算で見るインパクト
5. 自所のBCPセルフチェック
6. 不安なら「運用が回るBCP」へ整える

BCPは「計画書がある」だけでは義務を果たせない

障害福祉サービスで義務づけられているBCPには、性質の異なる2種類があります。①自然災害BCP(地震・水害などを想定し、いかに早く重要業務を復旧・継続するか)と、②感染症BCP(新型コロナ等を想定し、不要不急の業務を縮小しながらピーク時も優先業務を最低限継続する)です。どちらか一方だけでは要件を満たしません。

さらに見落とされやすいのが、義務の範囲です。令和3年度の報酬改定では、BCPの策定だけでなく、研修訓練(シミュレーション)の実施もあわせて義務づけられました。減算を定める告示でも、要件は「①計画を策定すること」と「②当該計画に従い必要な措置を講ずること」の2本立てです。研修・訓練の実施は、この②『必要な措置』に含まれると理解してください。つまり、計画書を作っただけで研修・訓練をしていない状態は、要件②を満たしていないことになります。

2つの猶予はすでに終了|2026年現在の立ち位置

「まだ猶予があるのでは」という声を時々聞きますが、BCPをめぐる猶予は性質の異なる2つがあり、いずれもすでに終了しています。ここを正確に押さえておきましょう。

BCPをめぐる2つの期限(経過措置・減算猶予特例)はどちらも終了済み

①「策定義務の経過措置」は令和6年3月末で終了

BCPの策定・研修・訓練が義務化された令和3年度改定では、準備期間として3年間の経過措置が設けられていました。これは令和6年(2024年)3月末で終了し、令和6年4月1日から策定は完全な義務になっています。同時に、義務を果たしていない事業所への「業務継続計画未策定減算」も新設されました。

②「減算の適用猶予特例」も令和7年3月末で終了

これとは別に、減算の適用には激変緩和の特例がありました。令和7年(2025年)3月末までは、「感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備」と「非常災害に関する具体的計画の策定」を行っていれば、BCP本体が未完成でも減算を適用しない、というものです。この特例も令和7年4月以降は終了しています。

整理すると——策定義務の経過措置=令和6年3月末まで減算の適用猶予特例=令和7年3月末まで2026年現在、どちらも終了済みです。BCPの未策定や、研修・訓練といった必要な措置の不履行は、いまや言い訳のきかない減算の対象になっています。

「形だけのBCP」が減算につながる3つの落とし穴

「BCPはある」という事業所でも、運営指導で次のような点を突かれると、減算と判断されかねません。とくに既存事業者が陥りやすい3つを挙げます。

落とし穴1:ひな形のままで、自所の実態と合っていない

厚労省のひな形は出発点としては有用ですが、事業所名を書き換えただけでは「自所の計画」になりません。職員数・連絡網・近隣の避難場所・備蓄・優先業務の判断などが自事業所の実情に落とし込まれていなければ、実効性のある計画とは評価されにくくなります。

落とし穴2:研修・訓練の「記録」が残っていない

前述のとおり、研修・訓練は要件②「必要な措置」の中核です。実施していても記録が残っていなければ、運営指導では「実施していない」と扱われがちです。研修・訓練は定期的に行い(年1回が目安/サービス種別により異なります)、新規採用時にも周知したうえで、実施日・参加者・内容を記録として残してください。

落とし穴3:「基準型」で届け出ているが、中身が伴っていない

この減算は、指定権者へ体制に関する届出を行い、「基準型」(=要件を満たす)か「減算型」かを自己申告する仕組みで運用されています。期限までに基準型として届け出なければ減算型として扱われる一方、基準型で届け出ていても、実際には研修・訓練や運用が伴っていなければ、運営指導で減算と判断され得ます。これは単なる書類不備にとどまらず、過大に受け取った報酬の返還(過誤)につながる、より重い問題です。

※基準型・減算型の届出方法や期日は指定権者により異なります(介護分野では電子申請等での届出運用が示されています)。宮城県・仙台市の最新の取扱いを必ずご確認ください。

本当に怖いのは遡及返還|試算で見るインパクト

この減算で最も警戒すべきは遡及適用です。運営指導で要件を満たしていないと判明した場合、判明した時点からではなく、基準を満たさなくなった時点までさかのぼって減算が適用される取扱いとされています(介護報酬改定のQ&Aで明示され、障害福祉でも同様の運用です)。

多くの既存事業所では、減算の猶予特例が切れた令和7年(2025年)4月が遡及の起点となり、2026年現在ではすでに1年分を超える返還規模になり得ます。当初から指針や非常災害計画も整えていなかった場合は、最大で令和6年4月まで遡ります。

試算(あくまで目安)

・基本報酬が月300万円規模の通所系(減算率1%)→ 1年分で約36万円の返還

・同条件のグループホーム等の施設・居住系(減算率3%)→ 1年分で約108万円の返還

※あくまで試算です。実際の減算額は、算定する単位数・地域区分・遡及期間によって変わります。

自所のBCPセルフチェック

まずは、お手元のBCPが「形だけ」になっていないかを点検してみてください。1つでも「いいえ」があれば、整備の余地があります。

自然災害BCPと感染症BCPの両方がある
ひな形の文言ではなく、自所の実態(職員数・連絡網・避難場所・備蓄・優先業務)が反映されている
研修を実施し、実施日・参加者・内容を記録している
訓練(机上訓練でも可)を実施し、記録している
策定後、組織や連絡網の変更にあわせて見直しをしている
指定権者へ基準型として届け出ており、その中身が実態と合っている

不安なら「運用が回るBCP」へ整える

BCPは「作って終わり」の書類ではなく、研修・訓練・見直し・届出までを含めて運用が回って初めて義務を果たしたといえます。とはいえ、現場運営と並行してここまで揃えるのは負担が大きいのも事実です。「計画はあるが研修・訓練の記録が無い」「届出の中身が実態と合っているか自信が無い」という段階こそ、整えておく価値があります。

当事務所は宮城県・仙台市の福祉事業所に特化し、既存BCPの点検・実態への落とし込み、研修・訓練の運用設計と記録の整備、届出の確認、そして実地指導を見据えた帳票整備まで伴走してサポートします。「今のままで減算にならないか」を確認するところからご相談ください。

こんなお悩みはありませんか?

✔ ひな形を埋めたが、自所の実態に合っているか不安

✔ 研修・訓練の記録が残っていない

✔ 作ってから一度も見直していない

✔ 実地指導で「これでは不十分」と言われないか心配

障害福祉に特化した行政書士が、既存BCPの点検から研修・訓練の運用、届出の確認、実地指導対策まで一貫してサポートします。

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📎参考リンク
厚生労働省 障害福祉サービス事業所等における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修(ガイドライン・ひな形・様式ツール集)
厚生労働省 障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン等
厚生労働省 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(省令・告示)