【グループホーム】グループホーム(共同生活援助)の開設手続きと費用【宮城県・仙台市版】
2026年03月26日
1. グループホームとは──3つの類型と特徴
グループホーム(正式名称:共同生活援助)は、障害のある方が地域の中で共同生活を営みながら、日常生活上の支援や相談を受けられる障害福祉サービスです。仙台市内には令和8年1月1日現在で409ヶ所のグループホームが設置されており、需要の高いサービスです。
| 類型 | 概要 | 対象・特徴 |
|---|---|---|
| 介護サービス包括型 | 事業者が自ら介護サービスを提供 | 最も一般的な類型。宮城県内の大多数がこの形態 |
| 外部サービス利用型 | 入居支援は行い、介護は外部の居宅介護事業者に委託 | 軽度障害者向け。介護スタッフ採用が難しい地域に向く |
| 日中サービス支援型 | 24時間支援体制。日中も事業所内で支援 | 重度障害者・医療的ケア児者向け。仙台市に補助金制度あり |
本記事では最も一般的な介護サービス包括型を中心に解説します。日中サービス支援型・外部サービス利用型については個別の基準があるため、開設を検討する場合は個別にご相談ください。
2. 開設に必要な基準──人員・設備・居室
① 人員基準
| 職種 | 配置基準 | 注意点 |
|---|---|---|
| 管理者 | 事業所ごとに1名(常勤) | 資格不問。管理業務に支障がなければサビ管と兼務可 |
| サービス管理責任者(サビ管) | 利用者数30名以下:1名以上。非常勤でも可(ただし定員20名以上はできる限り専従が望ましい) | 実務経験要件+研修修了が必要。他サービスとの違いは「非常勤可」な点 |
| 世話人 | 常勤換算で利用者数÷6以上(6:1) | 資格不問。食事・日常生活の援助を担当。なお夜間支援体制加算を算定する場合の夜間支援従事者の勤務時間は、世話人・生活支援員の常勤換算に含まれません。 |
| 生活支援員 | 障害支援区分に応じた配置(区分4以上の利用者がいる場合) | 介護が必要な利用者への支援を担当 |
就労支援系や児童通所系サービスのサビ管・児発管は常勤・専従が原則ですが、グループホームのサビ管は非常勤でも配置が認められます。これにより、既存の福祉事業者が他事業所のサビ管を兼務する形で開設しやすいという利点があります。ただし要件確認は必須です。
② 設備・居室基準
| 項目 | 基準の概要 |
|---|---|
| 1住居あたりの定員 | 原則2〜10名(ユニット)。サテライト型は1名も可 |
| 居室面積 | 1人あたり7.43㎡以上(収納スペース含む)。原則個室 |
| 共同生活室(食堂等) | 住居ごとに設置。食事・リビングの機能を有するスペース |
| 浴室・トイレ | 住居内または同一建物内に設置。バリアフリーへの配慮 |
| 消防設備 | 自動火災報知設備・誘導灯・消火器等。重度障害者受入の場合はスプリンクラー義務の場合あり |
国の基準を満たしていても、「宮城県福祉のまちづくり条例」および「仙台市ひとにやさしいまちづくり条例」による上乗せ基準への適合が別途必要です。具体的には廊下の有効幅員(車椅子離合を想定した1.2m〜1.5m以上)、車椅子使用者用便所の有効開口幅(80cm以上等)、手すりの形状、非常通報装置の設置などが細かく規定されています。また、建築指導課等への着工前の条例に基づく届出が必要となる場合があります。国の基準のみで判断せず、必ず建築指導課・消防署への事前相談を行ってください。
3. 開設費用の全体像
グループホームの開設費用は住居の形態(新築・賃貸・改修)や定員規模によって大きく異なります。賃貸物件を活用する場合は300万〜600万円程度から開設できるケースもあります。
| 費用項目 | 目安金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 法人設立費用 | 約10万〜30万円 | 個人での指定申請は不可 |
| 物件取得費(賃貸) | 敷金・礼金・仲介手数料 | 一戸建て・共同住宅どちらも可。バリアフリー対応物件は限られる |
| 改修工事費 | 約50万〜300万円 | バリアフリー化・間取り変更・消防設備設置等 |
| 備品費 | 約30万〜100万円 | 家具・家電・寝具・調理器具等(入居者の持参分を除く) |
| 指定申請関連費用 | 約15万〜25万円 | 行政書士報酬(依頼する場合) |
| 運転資金(3〜6ヶ月分) | 約100万〜300万円 | 給付費入金まで2ヶ月のタイムラグあり |
4. 収益の仕組み──給付費の計算
グループホームの給付費(訓練等給付費)は、利用者1人あたりの日額報酬×利用日数で算定されます。稼働率(入居率)を高く維持することが安定経営の基本です。
令和6年4月の報酬改定では、基本報酬の決定要素が利用者の障害支援区分や自立生活支援の評価などより個別の支援実態に即した仕組みへと細分化されました。また、グループホームは「地域での自立した生活への移行を目指す場」としての役割が明確化され、一人暮らし等への移行を支援した場合の「一人暮らし等移行支援加算」が新設・拡充されています。開設後の報酬計画はこの視点を踏まえて設計してください。
令和8年6月施行の報酬改定では、共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)の新規指定事業所の基本報酬が所定単位数×972/1000(約2.8%減)となります。今回の改定で対象サービスの中で最も大きな削減幅です。ただし、重度障害者支援加算を算定する利用者に係る報酬は対象外となります。新規開設のキャッシュフロー計画では必ずこの点を考慮してください。
5. 宮城県・仙台市での指定申請の流れ
| 手順 | 時期の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 法人設立・事業計画策定 | 開設の6〜8ヶ月前 | 定款に「共同生活援助事業」の記載が必須 |
| ② 事前相談(電子申請フォームで申込) | 物件契約前かつ申請期限の1ヶ月前まで | 住居の図面を持参。設備基準の事前確認が目的 |
| ③ 物件確保・建築消防手続き | 開設の3〜5ヶ月前 | 消防署への事前相談は必須。仙台市の場合は建築・消防の確認完了が申請前提 |
| ④ 人員確保・書類作成 | 開設の2〜4ヶ月前 | サビ管の採用・運営規程・平面図等の書類作成 |
| ⑤ 管理者・サビ管の事前面談 | 申請提出期限の1週間前まで | 仙台市独自の必須ステップ。面談なしでは申請受理不可 |
| ⑥ 本申請(書類提出) | 指定希望月の前々月15日必着 | 郵送または持参のみ。メール不可 |
| ⑦ 指定・開設 🎉 | 毎月1日 | 指定日から申請時の人員体制での運営開始が義務 |
6. 仙台市の補助金制度(令和8年度版)
仙台市では共同生活援助の整備を促進するための独自補助制度があります。開設前に必ず確認しておきましょう。
| 補助制度名 | 概要 |
|---|---|
| 重度障害者対応共同生活住居整備事業補助金 | 重度障害者受入可能なスプリンクラー設備等を有するGHを新規指定する場合に、空き部屋の賃料(12ヶ月分)と設備導入費の一部を補助 |
| 共同生活住居整備促進事業補助金(消防設備費) | スプリンクラー・自動火災報知設備の設置費用および耐火構造改修費用を補助。新設のほか重度障害者受入に伴う改修も対象 |
| 強度行動障害者受入GH改修費等補助金 | 強度行動障害者の受入・定着を目的とした改修・修繕費を補助 |
仙台市の補助制度を活用すれば、特にスプリンクラー等の高額設備を要する重度障害者対応GHでも、初期費用を大幅に抑制できます。補助金は後払いが基本のため手元資金の確保は必要ですが、事業性の改善に有効です。申請要件の詳細は仙台市障害福祉サービス指導課にご確認ください。
開設後に必ず守るべき運営義務(令和6年度以降)
令和6年4月の改定により、グループホームの運営に新たな義務が加わりました。開設前から把握しておきましょう。
虐待防止委員会の設置、身体拘束廃止に向けた指針の整備、および職員研修の実施が完全に義務化されました。未実施の場合は基本報酬が減算されます(虐待防止未実施減算:基本報酬の1%減算、身体拘束廃止未実施減算:1日につき5単位または10%減算等)。運営開始と同時に体制を整えてください。
令和6年度改定でグループホームは「地域での自立した生活への移行を目指す場」としての役割が強調されました。入居者の意向確認と退居・移行に向けた支援計画の策定が実質的に義務化されています。一人暮らしを希望する利用者への支援を行った場合に算定できる「一人暮らし等移行支援加算」の活用も検討してください。
退職・病休等のやむを得ない事由でサビ管が欠如した場合、要件を満たす職員を「みなし配置」として認める制度があります。ただし適用には仙台市障害福祉サービス指導課との事前協議が必須で、協議の結果認められない場合もあります。みなし配置の期間は、実務経験要件のみ満たす場合は最長1年、基礎研修修了済みの既存職員の場合は実践研修修了まで(最長2年)です。欠如が発生した場合は速やかに指導課へ連絡してください。なお欠如が継続すると翌々月から30〜50%の減算が適用され、指定更新・新規指定ができなくなります。
7. よくある失敗パターンと対策
❌ ① 居室面積が基準を満たさない
7.43㎡という基準は収納スペースも含んだ数値です。「ちょうど7.4㎡」の部屋では間仕切りやクローゼットを設置すると面積不足になるケースがあります。物件選びの段階で余裕のある広さを確保してください。
❌ ② 入居者確保が見込めない状態で開設してしまう
GHは入居者が決まって初めて給付費が発生します。入居者ゼロでも人件費・家賃は発生するため、相談支援事業所や医療機関への営業は開設前から開始することが重要です。
❌ ③ 消防設備の準備が遅れる
GHは特定防火対象物に該当するため、消防設備の設置・検査には時間がかかります。所轄消防署への事前相談は物件契約前に行い、指定申請前に消防法令適合通知書を取得しておく必要があります。
8. よくある質問
Q. 住居(物件)は何軒から始められますか?
1住居(ユニット)から開始できます。1住居あたりの定員は原則2〜10名です。事業が安定したら住居を追加(住居追加の申請)して規模を拡大することも可能です。住居追加の場合は、現在のサビ管がそのまま追加住居のサビ管を担当することができます。
Q. 一戸建てとマンションのどちらが向いていますか?
どちらも可能です。一戸建ては生活音や近隣トラブルが少なく、バリアフリー改修もしやすい反面、物件数が限られます。マンション・アパートは物件の選択肢が多いですが、管理組合や家主の同意が必要なケースがあります。重度障害者対応を行う場合はスプリンクラー設置義務が生じる可能性があるため、建物の構造を確認してください。
Q. 既に就労継続支援B型を運営していますが、GHを追加できますか?
はい。既存法人で別サービスとして指定を受けることができます。サビ管については、他事業のサビ管との兼務が可能な場合があります(業務に支障がない範囲で)。既存事業との相乗効果(利用者の日中活動とGHの組み合わせ)も期待できるため、事業拡大の選択肢として有力です。
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【参考リンク】
障害福祉サービス事業者等の指定申請等様式 ー 宮城県公式ウェブサイト
障害福祉サービス事業者等の新規指定申請について|仙台市
各種届出に関する手引き(ococoronマニュアル・令和8年3月発行)|仙台市
※ 本記事は一般的な制度情報をわかりやすく整理したものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。
手続きの詳細は管轄の自治体および専門家にご確認ください。掲載情報は執筆時点のものです。
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