【就労継続支援A型開業】就労継続支援A型の開業ガイド|宮城県・仙台市で開業するための手順2026年版
2026年04月28日
「就労継続支援A型を開業したいけれど、何から手を付ければいいか分からない」——そんな方に向けて、宮城県・仙台市で就労継続支援A型事業所を立ち上げるための全体像を、行政書士の視点でまとめました。
就労継続支援A型は、障害のある方と雇用契約を締結して働く場を提供するサービスです。B型と比べて事業運営のハードルが高い反面、利用者の賃金を保障しながら「働く」を支援するやりがいのある事業でもあります。
本記事では、法人設立から事業計画の策定、物件選び、人員確保、指定申請、そして開業後の運営まで、ステップごとに解説していきます。
📎 参考リンク
・【就労継続支援B型】宮城県・仙台市で就労継続支援B型を開業する完全ガイド〜制度改正の波をチャンスに~
📑 この記事の内容
1. 就労継続支援A型とは?B型との違い
2. 開業までの全体スケジュール
3. STEP① 法人設立と定款の注意点
4. STEP② 事業計画書・収支計画書の作成
5. STEP③ 物件選びと設備基準
6. STEP④ 人員配置基準を満たす
7. STEP⑤ 指定申請書類の準備と提出
8. STEP⑥ 開業後に必要な届出と運営のポイント
9. 令和6年度報酬改定「スコア方式」への対応
10. 宮城県・仙台市で開業する際の相談窓口
11. まとめ
1. 就労継続支援A型とは?B型との違い
就労継続支援A型は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。一般企業での就労が困難な65歳未満の障害のある方に対し、雇用契約を結んだうえで働く場と支援を提供します。
利用者には最低賃金以上の賃金を支払う必要があり、労働基準法や労働契約法が適用される点が、工賃を支払うB型との最大の違いです。
| 比較項目 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | あり(必須) | なし |
| 対象年齢 | 原則65歳未満 | 年齢制限なし |
| 賃金・工賃 | 最低賃金以上の賃金 | 工賃(月額平均約17,000円前後) |
| 適用法令 | 労働基準法・労働契約法等 | 障害者総合支援法のみ |
| 最低定員 | 10名 | 20名 |
| 報酬体系 | スコア方式(令和3年度〜) | 平均工賃月額に応じた区分 |
| 賃金の原資 | 原則、事業収入から充当 | 事業収入から支払い |
特にA型で重要なのは、利用者の賃金は原則として生産活動(事業)の収入から賄う必要がある点です。訓練等給付費(いわゆる報酬)を賃金に充てることは認められていません。開業前に「どのような仕事で売上を立てるか」を具体的に計画することが不可欠です。
2. 開業までの全体スケジュール
就労継続支援A型の開業には、一般的に4〜6ヶ月程度の準備期間が必要です。B型と比べて、事業計画書の収支確認や雇用契約の整備など追加の手続きがあるため、余裕をもったスケジュール設計をおすすめします。
以下は、宮城県で指定申請を行う場合のモデルスケジュールです。
宮城県では、指定希望日の1ヶ月半前までに申請書類を提出する必要があります(4月1日指定の場合は2ヶ月前の1月末まで)。ただし、これはあくまで本申請の締切です。実務上は本申請の前に事業内容・図面・収支計画について指定権者との事前協議が必要であり、この期間を含めると指定希望日の3〜4ヶ月前から動き始める必要があります。法人設立や物件探しの時間も加えると、開業の半年前には準備をスタートさせることを強くおすすめします。
3. STEP① 法人設立と定款の注意点
障害福祉サービス事業の指定を受けるためには、法人格が必須です。株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人のいずれかを設立する必要があります。
就労継続支援A型で特に注意すべきは定款の事業目的です。
⚠ A型特有の注意点:
社会福祉法人以外の法人が就労継続支援A型を行う場合、その法人は「専ら社会福祉事業を行うもの」でなければなりません。定款の目的に飲食業・不動産業など社会福祉事業以外の事業が記載されている場合は、指定を受けられない可能性があります。
対応策としては、①既存法人の定款から社会福祉事業以外の目的を削除する定款変更を行うか、②別法人を新規設立するかのいずれかになります。どちらが適切かは法人の状況によって異なるため、早期に指定権者(宮城県または仙台市)へ相談することを強くおすすめします。
定款の目的欄には、次のような記載が必要です。
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」
4. STEP② 事業計画書・収支計画書の作成
A型事業所の開業では、事業計画書と収支計画書の策定が極めて重要です。B型以上に、「利用者にどんな仕事を提供し、どのように売上を確保するか」が厳しく審査されます。
事業計画書に盛り込むべき主なポイントは以下のとおりです。
| 項目 | 内容・留意点 |
|---|---|
| 生産活動の内容 | 具体的な仕事内容(内職のみでは新規指定が困難な場合あり) |
| 売上見込み | 取引先や受注見込みを客観的に示す資料を添付 |
| 賃金計画 | 最低賃金×想定労働時間で人件費を試算し、事業収入で賄えることを証明 |
| 資金繰り計画 | 報酬の入金は2ヶ月遅れ。開業後3ヶ月分の運転資金確保が目安 |
| 利用者確保の見通し | ハローワーク・相談支援事業所との連携計画 |
宮城県の最低賃金は1,038円(令和7年10月4日改定時点)です。仮に利用者10名が1日5時間×月20日働く場合、月額の賃金総額は約104万円以上となります。最低賃金は毎年10月に改定されるため、事業計画書作成時は必ず宮城労働局の最新情報を確認してください。
5. STEP③ 物件選びと設備基準
A型事業所に必要な設備基準は以下のとおりです。
| 設備 | 要件 |
|---|---|
| 訓練・作業室 | 定員数 × 3㎡ 以上の有効面積(定員10名なら30㎡以上) |
| 相談室 | プライバシーに配慮し、間仕切り等で談話が漏れない構造 |
| 多目的室 | 食事・休憩等に使用(相談室と兼用可) |
| 洗面所・便所 | 利用者の特性に配慮した設備 |
| その他 | 日照・採光・換気、防火・消防設備の確認が必要 |
物件を契約する前に、建築基準法上の用途変更や消防法への適合を必ず確認しましょう。特にテナントビルの一室で開業する場合、用途が「事務所」のままでは不可となるケースがあります。宮城県では指定申請前に図面相談を行うことが推奨されています。
🔥 物件契約前に消防署への事前相談を必ず行うこと
雑居ビルや既存テナントを利用する場合、自動火災報知設備・誘導灯・避難経路の確保など消防設備の基準が厳しく適用されることがあります。改修が必要な場合、数十万〜百万円以上のコストが発生するケースもあります。物件の内見・交渉段階から、所轄の消防署(仙台市内であれば各消防署予防課)に事前相談を行い、改修コストを見込んだうえで物件を選定してください。
6. STEP④ 人員配置基準を満たす
就労継続支援A型の人員配置基準は以下のとおりです。
| 職種 | 配置基準 | 備考 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1名(常勤) | サビ管との兼務可。管理者要件あり(※) |
| サービス管理責任者 | 1名以上(常勤・専従) | 利用者60名以下で1名。実務経験+研修修了が必要 |
| 職業指導員 | 1名以上 | 合計で利用者数÷10以上(常勤換算)。うち1名以上は常勤。 7.5:1配置にすると報酬が高い区分を算定可能。 |
| 生活支援員 | 1名以上 |
※管理者要件:①社会福祉主事資格 ②社会福祉事業に2年以上従事 ③社会福祉施設長認定講習修了 ④企業経営経験(概ね1年以上) のいずれか
💡 最低人員の具体例(定員10名の場合):
・管理者兼サービス管理責任者:1名
・職業指導員:1名
・生活支援員:1名
→ 最低3名で開業が可能です。ただし、10:1配置(利用者10名÷10=常勤換算1.0名)を満たす必要があるため、職業指導員と生活支援員の合計が常勤換算1.0以上であることが条件です。
サービス管理責任者(サビ管)の確保はA型開業における最大のハードルのひとつです。サビ管の資格要件については、当事務所のブログ記事「サビ管・児発管の資格要件を徹底解説」もあわせてご覧ください。
7. STEP⑤ 指定申請書類の準備と提出
宮城県での指定申請に必要な主な書類は以下のとおりです。
| No. | 書類名 |
|---|---|
| 1 | 指定申請書 |
| 2 | 付表(就労継続支援A型用) |
| 3 | 法人の登記事項証明書(3ヶ月以内) |
| 4 | 定款または寄附行為の写し |
| 5 | 運営規程 |
| 6 | 従業者の勤務体制・勤務形態一覧表 |
| 7 | サービス管理責任者の経歴書・資格証の写し |
| 8 | 事業所の平面図・写真 |
| 9 | 事業計画書・収支計画書 |
| 10 | 社会保険・労働保険の加入状況確認票 ※ A型は雇用契約を結ぶため、指定申請時点で労働保険(労災・雇用)の保険関係成立届を提出済みであることが求められます。労働基準監督署・ハローワークへの届出は早めに行いましょう。 |
| 11 | 指定申請書提出確認表 |
📌 宮城県の提出期限:
指定希望日の1ヶ月半前まで(原則)。4月1日指定の場合は1月末まで。書類不備があれば差し戻しとなり、指定日が遅れる可能性があります。余裕をもって2ヶ月前の提出を推奨します。
提出先は、仙台市内に事業所を設置する場合は仙台市障害福祉課、仙台市外の場合は宮城県障害福祉課です。
8. STEP⑥ 開業後に必要な届出と運営のポイント
指定を受けて開業した後も、A型事業所には継続的な届出や管理事項があります。
| タイミング | 対応事項 |
|---|---|
| 開業直後 | ハローワークへの求人登録、利用者の受入れ、個別支援計画の策定 |
| 毎月 | 国保連への請求事務、勤務形態一覧表の作成・保管 |
| 年度ごと | スコア報告、加算届出、処遇改善加算の実績報告 |
| 変更時 | 人員・設備・運営規程の変更届(変更後10日以内) |
| 6年ごと | 指定更新申請 |
A型事業所では利用者との雇用契約が存在するため、労務管理も重要な業務となります。就業規則の整備、賃金台帳の管理、社会保険・労働保険への加入手続きなど、通常の事業所と同様の対応が必要です。
9. 令和6年度報酬改定「スコア方式」への対応
令和3年度から導入されたスコア方式は、A型事業所の報酬を「労働時間」「生産活動」「多様な働き方」「支援力向上」「地域連携活動」の5項目で評価する仕組みです。
令和6年度(2024年度)の報酬改定では、これに「経営改善計画」と「利用者の知識・能力向上」が追加され、合計200点満点のスコアとなりました。
| 評価項目 | 配点 | 概要 |
|---|---|---|
| ①労働時間 | 80点 | 1日の平均労働時間に応じたスコア |
| ②生産活動 | 40点 | 生産活動収支の状況 |
| ③多様な働き方 | 35点 | 一般就労への移行実績等 |
| ④支援力向上 | 35点 | 職員研修の実施、外部評価の受審等 |
| ⑤地域連携活動 | 10点 | 地域の関係機関との連携実績 |
| ⑥経営改善計画 | −50点 | 指定権者からの求めに応じて未提出の場合に減点 |
| ⑦利用者の知識・能力向上 | 加点 | 令和6年度改定で新設 |
スコアが低い場合、基本報酬が大幅に下がるため、開業前から「高いスコアを取るための事業設計」を意識することが成功の鍵です。特に、生産活動の収支と労働時間の2項目で大きな配点を占めるため、しっかりした事業内容と売上計画が不可欠です。
⚠ 経営上のリスク:生産活動収支の赤字が続く場合
生産活動収支(売上−原価・経費)が利用者への賃金総額を下回る状態が継続した場合、指定権者から経営改善計画の提出を求められることがあります。提出を求められたにもかかわらず期日までに提出しなかった場合、スコアから50点が減算され、報酬が大幅に下がるリスクがあります。開業後も生産活動の収支を毎月把握し、早期に改善策を講じる体制が重要です。
10. 宮城県・仙台市で開業する際の相談窓口
| 窓口 | 対象エリア | 問い合わせ先 |
|---|---|---|
| 宮城県 保健福祉部 障害福祉課 | 仙台市以外の宮城県内 | TEL: 022-211-2538 |
| 仙台市 健康福祉局 障害福祉部 障害者総合支援センター | 仙台市内 | TEL: 022-771-6511 |
| ハローワーク仙台 | 利用者の求人登録 | TEL: 022-299-8811 |
11. まとめ
就労継続支援A型は、雇用契約を前提とするため、B型と比べて経営のハードルが高い事業です。しかし、しっかりとした事業計画を立て、制度を正しく理解して準備を進めれば、障害のある方に「働く場」と「適正な賃金」を提供できる、社会的意義の大きな事業でもあります。
開業にあたっては、以下のポイントを押さえておきましょう。
✅ 法人の定款は「専ら社会福祉事業」の記載が必要(社会福祉法人除く)
✅ 事業計画書で「事業収入で賃金を賄えること」を客観的に示す
✅ サービス管理責任者の確保を早期に進める
✅ 宮城県では指定希望日の1ヶ月半前までに申請書類を提出
✅ スコア方式を見据えた事業設計が報酬額を左右する
就労継続支援A型の開業、まずは無料相談から
「どんな仕事なら収支が合うの?」「サビ管が見つからない…」「定款を直す必要がある?」
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